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選挙、その後

大統領選挙と上院下院議会選挙の暫定結果が発表されました。
結果としては、議会選挙のほうは与党連盟が長年の汚職体制を
批判されつつも、僅差で野党連盟に勝利しました。
東欧革命から15年、旧共産党系の流れを組む社会民主党がまたしても勝利したことで、西欧メディアの批判を浴びているようです。
改革を望む意志が民衆に乏しいんだから、仕方ないでしょう。補助金ばら撒かれてれば、なんとなく生活良くなった気がするのが、人情です。長期的に見てそれがマイナスであったとしても。どうせ、今国民が得ている金なんて、EU加盟前の、EUからのばら撒き資金のおこぼれと加盟の期待感から来るバブル経済のなせる業。

大統領選挙のほうは与党候補も野党候補も過半数を獲得できなかったため、決選投票に持ち込まれますが、おそらく与党のナスタセ現首相が勝つんじゃないかなと言う気がします。やっぱりここでも社会民主党優勢です。

大統領選で決選投票といえば思い出されるのが、隣国ウクライナで今起こっている、大統領選挙の無効をめぐる問題。
ルーマニアの野党も今回の選挙で、違反があったことを口実に選挙のやり直しを求めていますが、これはまあ、負けた側としてはカッコがつかないから、一応遠吠えでもしてみているだけで、ウクライナとはまったく事情が違います。ウクライナのような国を二分する大騒動には発展しないというのが、私の予想です。
ウクライナの場合、親ロシア系候補と西欧よりのウクライナ系候補の対立という図式ですが、ルーマニアの場合は与野党とも、EUラヴな姿勢を明確に打ち出しています。ルーマニアにもそれ以外の民族主義系の大統領候補も複数いましたが、大ルーマニア党のヴァディム候補でも3位で得票率13%弱であります。ハンガリー人政党の候補に至っては得票率わずか5%。1位の社会民主党ナスタセ候補(41%)、2位の国民自由党バセスク候補(34%)に大きく水をあけられています。
ですから、ルーマニアの場合、民族系候補の対立という要素もなければ、西欧寄りか独自路線を歩むかというポリシーの対立でもないわけです。

ルーマニアの場合、EUに入りゃあ、何かすんげーいいことがあるみたいだから、EUに是が非でも入らなイカンと国民一丸となっている時であり、今、国内でゴタゴタを起こしてEUから睨まれるメリットは無いことを、ナスタセもバセスクも承知しています。

なのに、朝日新聞は「ルーマニアで野党が選挙のやり直しを要求。隣国ウクライナの影響か」と書いていて、うーん、そいつはちょっと読みが単純すぎないか、と思いました。

逆に言えば、EUに入りればなんとかなる、経済絶好調・生活レベル向上間違いなし、と思っている国民の皆さんの期待が、2007年(もしくは2008年)のEU加盟後に裏切られた場合、その不満がどこに向かうかがむしろ恐ろしいのではないかと、私は思います。
民族主義が先鋭化するのは、今ではなくて、その時なのではないかと思います。

堅い話ですみません。バカ話もそのうちするから、お付き合いください(笑)
まとめると、ウクライナでは大変な騒ぎになっているけど、ルーマニアは今日も平和です、ということを言いたいわけです。

(文中で使用した数字は、12月1日に選挙中央委員会が発表した数字を使用させていただきました。最終結果ではありません)

by heedoosama | 2004-12-02 03:14 | ルーマニアのニュース  

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