ルーマニア語通訳をして(3)

前回の記事で触れた、「通訳メモ」についてお話したいと思います。
通訳メモというのは、通訳が聞き取りをしながら書くメモです。だたし、通訳は相手の発言をまるまる写し取るなんてことはしません。通訳は訳を考えながらメモを取るので、発言内容を一言一句書き取ることに必死になっていたら、手ばかりが動いて頭が働きません。

実は、この通訳メモ、通訳さんごとにいろんな取り方があります。日本やヨーロッパの通訳養成学校では、速記のようにマルやら三角やら二重丸を使って、暗号化したメモをとる技術を学ぶところもあります。なれるとそのほうがメモを取りやすいようです。

私の場合はちゃんとそういうお勉強をしていないので、我流で記号を使っています。「本日はお忙しいところお時間をいただきまして、有難うございます」という発言があったとしたら、メモは「本日 時 M」としか書かないとか。Mはルーマニア語のMultumesc(有難う)の頭文字です。

さて、前フリをたれたところで、実際に、へーどーがあるミーティングの通訳でとったメモをご覧いただきましょう。
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・・・。


き・・・・


きったねー

自分で見て、今、びっくりこきました。
もとから字は汚いのですが、通訳中はスピード勝負のため、さらに見苦しいです。まあ、でも通訳メモというのはあくまでも自分のためにとるものであって、ひどい字でも「その瞬間さえ読めればいい」ものです。たまに、お客さんで、興味があるのか私の手元を覗き込んでくる人がいらっしゃいますが、「悪いものを見てしまった」みたいな感じでぎょっとして目をそらすのが面白いです。

この中でルーマニア語と日本語が混在していますが、「ルーマニア語の部分はルーマニア人の発言を写し取ったもので、日本語の部分は日本人が発言したとこだな」と思われるかもしれません。ところがどっこい、そうとも限りません。日本語での発言でも、私はメモを取りながらルーマニア語に頭の中で変換するので、手はルーマニア語を書いていたりします。いつもではないですが。

ご覧いただいてお分かりいただけるかと思いますが、書いた本人にもわけのわからんメモです。ですから、前回書いたように、後でこのメモを見て会議の内容を思い出せるかというと・・・思い出せません。書いているその瞬間しか意味はわかりません。例えば、「1日あたり3,000ユーロの売り上げがありました」という発言をメモするのに「3/z C.A.」しか書いてなかったりします。zはルーマニア語の「zi」=「1日」の略です。「C.A.」は「Cifra de afaceri(売り上げ)」の略です。後で読みかえしても3,000ユーロだったのか、3万ユーロだったのか、思い出せません。

通訳メモは、議事録作成用のメモとは根本的に違います。

今回、いろいろ調べてたらたまたま見つけた「通訳ごんたのひとりごと」というブログで、すっげー賢い「縦割り通訳メモ」の取り方を書いていて、真似せねば!と鼻息荒くなってしまいました。
この方が、「technology と書く代わりに「技」と書いたりする」と記事に書いてらして、「オレも!オレも!」と嬉しくなってしまいました。tehnologie は 誰がなんと言おうと通訳メモでは「技」です。決定。
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by heedoosama | 2007-01-30 06:13 | ことば・おしごと  

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